トランプ米政権「WeChatは中国で引き続き利用可」と内密に通達

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多機能アプリWeChatを運営するTencentとの取引を米国企業に禁じる大統領令への署名が行われたのは8月初旬のことですが、Appleが中国のApp StoreでWeChatを配布できなくなると、あまりに損害が大きすぎる、と危惧する声が上がっていました。トランプ米政権は、米企業に対して内密に「WeChat禁止に中国は含まれない」と通達した、とBloombergが伝えています。

中国でWeChat削除でAppleに2兆6,500億円の損失

ドナルド・トランプ大統領は現地時間の8月6日、安全保障上の脅威になっているとしてTikTokとWeChatを米国内でサービス停止とする大統領令に署名しましたが、TikTokに関しては米企業による買収でサービス継続の可能性が示されました。
 
しかしながら、WeChatについては代替案が何も語られておらず、WeChat禁止は免れないとする見方が強まっていますが、議論となっているのはいったいどの範囲までサービス停止が適用されるかです。
 
Appleサプライチェーンに独自の情報筋を持つ著名アナリストのミンチー・クオ氏は、WeChatが中国内のApp Storeから取り下げられるシナリオもあり得ると見ており、そうなった場合、iPhoneの出荷台数は25%〜30%減少するとの予測を発表しました。
 
Weibo上でのアンケート調査では、中国ユーザーの95%が「WeChatが使えないiPhoneなんていらない」と回答しており、社会インフラとなっているアプリが中国のApp Storeから削除された場合、Appleの損失は年間250億ドル(約2兆6,500億円)に上るとの試算も出ています。

とりあえず胸を撫で下ろせる?

8月21日のBloombergの報道によれば、WeChat禁止は中国国内には適用されない可能性が濃厚とのことです。
 
中国にApp Storeを持つAppleや、Starbucksなどの米企業は、WeChatを継続して国内で利用できるため、今ごろ胸を撫で下ろしているのではないでしょうか。
 
WeChat禁止をどこまで適用させるかについての議論は政権内でまだ続いているようですが、基本的に米国内のアプリストアでのダウンロードおよびアップデートの停止が主な制裁内容となりそうです。
 
それゆえ、短期間米国を訪問する中国からのユーザーは、WeChatを米国内で利用することは可能とのことです。ただ、アプリのアップデートはできないため、米国に長く留まるユーザーのアプリは、徐々に廃れていくだろうとの見方のようです。
 
 
Source:Bloomberg
Photo:Apple
(lexi)