Appleの環境目標達成には台湾企業の再エネ導入が必要不可欠

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海外大手メディアBloombergは、Appleが温室効果ガス削減目標を達成するためには、台湾サプライヤーによる再生可能エネルギー導入が重要であると報じています。

Appleはカーボンニュートラルを目指している

Appleは7月、環境保護のため、製造サプライチェーンも含めて温室効果ガスの排出を低減し、2030年までにカーボンニュートラルを目指すと発表しています。
 
AppleはiPhone等の全ての製品を、太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギーを用いて製造することを計画しています。
 
現在までに、71社のサプライヤーがAppleの計画に賛同し、消費電力の合計は約800万キロワットとなっています。
 
800万キロワットという消費電力は、シンガポール1国の最大電力を超えるため、Appleの計画が2030年までに達成された場合、地球規模で気候変動を抑える効果がありそうです。

台湾企業の再エネ導入が鍵を握っている

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Bloombergは、Appleの主要サプライヤーである台湾企業のTaiwan Semiconductor Manufacturing Co.,(TSMC)や Hon Hai Precision Industry Co.,(Foxconn)の再生可能エネルギー導入が、Appleの目標達成の鍵を握っていると報じています。
 
TSMCはApple製品に必要不可欠な最先端の半導体を製造しており、Foxconnは年間1億台以上のiPhone組立を行う等、台湾企業はAppleのサプライチェーンにとって非常に重要な存在となっています。
 
TSMCやFoxconnも工場への太陽光発電パネルの設置等、再生可能エネルギーの導入を進めていますが、現在も使用電力の90%は火力発電所等からの電気に依存しています。
 
TSMCは7月、欧州企業Orstedが今後台湾沖に建設する洋上風力発電所から、92万キロワットの電気を購入する契約を締結し、世界最大の再エネ取引として注目されました。
 
また、太陽光発電や風力発電は、重要な再生可能エネルギーですが、日光や天候に左右されるため、24時間稼働する工場に電気を安定供給することは困難です。
 
そのため、Appleの計画では夜間に火力発電所の電力を使用した場合、同等の電力を発電する再生可能エネルギーに投資するよう求めており、将来、Appleのサプライヤーが再生可能エネルギーを自ら開発する可能性もあります。
 
さらにTSMCやFoxconnは、台湾政府に対して石炭火力発電等から再生可能エネルギーへ転換するよう求めており、Bloombergのアナリストは「今後、世界各地でAppleのサプライヤーが各国の環境対策を主導していくかもしれない」とコメントしています。
 
 
Source:Bloomberg
Photo:Orsted
(seng)