Appleのティム・クックCEOはどういう人物なのか?詳細へのこだわりに怯える社員も

ティム・クック
 
あまり素性が語られることのないAppleのティム・クック最高経営責任者(CEO)に、The Wall Street Journalがスポットライトを当てました。クックCEOの詳細にどこまでもこだわる姿勢は、現在のAppleを形作った原動力となっている一方、同氏とのミーティングに怯える従業員もいるようです。

毎日午前4時前に起床

Apple共同創業者スティーブ・ジョブズ氏の引退後、2011年からAppleのCEOを務めるクック氏の一日は、午前4時前に起床し、世界中の販売データを確認することから始まります。
 
毎週金曜は、執行と財務関連の業務に就くスタッフとミーティングを行うのが通例となっていますが、すべての確認作業に数時間を要し、夕暮れまでもつれ込むこむため、従業員たちはこれを”ティムとのデートの夜”と呼んでいるそうです。
 
前CEOがほぼ毎日訪れていたデザインスタジオには、クックCEOはほとんど訪れることはないといわれています。

Appleに賭けた謙虚なワーカホリック

クックCEOは、同僚と知り合いから”Appleに賭けた謙虚なワーカホリック”とみなされており、長年Appleで共に時間を過ごす同僚も、ほとんど社交を行ったことがないと語っています。クックCEOの予定表には、個人的な行事はいっさい記されていないとのことです。
 
約2年前の感謝祭(アメリカの祝日のひとつで、一般的に親族や友人が集まって食事会を行う)のとき、クックCEOがひとりでザイオン国立公園の近くのアマンギリホテルで夕食を摂っていたのが目撃されています。その場に居合わせた宿泊客によれば、同氏はiPhoneの新機種発売の疲れを癒やすためにホテルを訪れ、「腕のいいマッサージ師がいるんだ」と言っていたとのことです。

詳細にこだわる姿勢に社員は怯えている?

WSJがAppleにクックCEOへの取材を申し込んだところ、同氏は直接インタビューに答えることはできないものの、4人の社員が環境、教育、ヘルスケアなどCEOが特に大切だと思っている分野について語ることはできる、と返答がありました。
 
しかしながらその4人の従業員のうち、一人は一度もクックCEOに会ったことがなく、二人目はすれ違ったことしかなく、三人目は30分間を共に過ごしただけで、最後の人は数時間会って話したことがある程度という事実が判明しました。
 
クックCEOは時間を無駄に過ごすのを極度に嫌っているようで、質問に対して的確に答えることができなければ、「はい、次」と言ってすぐにミーティングを終えてしまうので、中には泣いてしまう社員もいるとのことです。
 
中間管理職に就く従業員は、クックCEOとのミーティングに出す前にスタッフが十分に知識を蓄えているかどうかの確認を行っており、「チームと、クックCEO自身を守るためだ。彼の時間を無駄にしてはならない」と語っています。

WSJはクックCEOを高く評価

現職に就く前は最高執行責任者(COO)を務めていたクックCEOは、前ジョブズCEOとは異なり、製品開発とはほど遠い人物です。しかしながら、それを同僚たちはよく理解しており、新たな経営体制の構築に力が注がれてきました。
 
コラボレーションに重きを置くクックCEOは、ソフトウェア、ハードウェア、デザインそれぞれの分野の役員に、積極的に互いに協力するよう呼びかけており、ジョブズ氏が遺したiPhoneをAppleの製品エコシステムの中心に添えつつ、Apple WatchAirPods、音楽・動画ストリーミング、数々のサブスクリプションサービスを世に送り出してきました。
 
ジョブズ氏がAppleを引退してからというもの、Appleの収益・利益は倍以上、市場価値は、3,480億ドルから1.9兆ドルへと上がっており、カナダ、ロシア、スペインの国民総生産(GDP)を超えるほとになっています。
 
現在59歳のクックCEOのリーダーシップのもと、Appleは注意深く、協力的かつ、戦術に長けた企業に成長した、とWSJは評しています。
 
 
Source:WSJ
Photo:thierry ehrmann/Flickr
(lexi)